2. 全体像の理解:ギーブス&ホークスを形作る「3つの柱」

このブランドを知ることは、英国紳士服の歴史そのものを知ることでもあります。

① 「サヴィル・ロウ 1番地」という住所

ロンドンの高級仕立て屋街サヴィル・ロウ。その入り口、1番地に巨大な店舗を構えるのが彼らです。この場所はかつて王立地理学協会の本部であり、歴史的な探検の拠点でした。現在は、英国最高のテーラリング技術を世界に発信する拠点となっています。

② 軍服仕立てによる「構築美」

ギーブスは海軍、ホークスは陸軍の士官用制服を専門としていました。そのため、彼らのスーツは肩パッドがしっかりと入り、胸元には適度なボリュームがあり、凛とした立ち姿を作ります。イタリアの柔らかな仕立てとは対極にある、質実剛健な美学です。

③ 時代に即した「既製服(レディ・トゥ・ウェア)」

ビスポーク(完全注文服)が中心ですが、現在はその型紙を活かした既製服も展開しています。サヴィル・ロウの技術を、より多くの現代のビジネスマンが手の届く形で提供しているのも、このブランドの度懐の深さです。

ギーブス&ホークスを彩る「歴史的顧客」

顧客名エピソード
ジョージ3世ブランド初のロイヤルワラントを授与。
ネルソン提督海軍の英雄。トラファルガー海戦で着ていた制服もギーブス製。
ウィンストン・チャーチル英国首相。若き軍人時代からホークスの顧客でした。

3. 基本用語・概念のやさしい解説

● ロイヤルワラント (Royal Warrant)

たとえ話: 「英国王室の『認定マーク』です。エリザベス女王、エディンバラ公、チャールズ皇太子(当時)の3つすべてを保持していた稀有なブランドであり、その品質は王室が保証しています」

● ロープド・ショルダー

肩先が少し盛り上がったデザイン。袖山にロープが入っているように見えることからこう呼ばれます。ギーブス&ホークスらしい、威厳のある肩のラインを作るための伝統的なディテールです。

● サージ (Serge)

彼らが好んで使用する、耐久性に優れたウール生地。軍服由来のブランドらしく、過酷な環境でも型崩れせず、美しさを保つ実用的な素材選びが特徴です。

💡 初心者が知っておくべき「ブランドの現在」

近年、親会社の経営難などにより存続が危ぶまれた時期もありましたが、現在は英国の小売大手傘下に入り、伝統を守りながら再生の道を歩んでいます。サヴィル・ロウの象徴である1番地の店舗は今も健在。歴史の重みを感じさせるその場所は、今も世界中の紳士たちの巡礼地です。

4. まとめ:初心者がまずやるべきこと

  • 1まずは「シャツ」や「ネクタイ」から: スーツは非常に高価ですが、小物は比較的手が届きやすいです。英国らしい力強いレジメンタルタイなどは、Vゾーンに知性を与えてくれます。
  • 2「No.1 Savile Row」を画像検索する: その壮麗な建物の外観を見てください。単なる店ではなく、一つの文化遺産であることが理解できるはずです。
  • 3軍服とスーツの「繋がり」を意識する: 今私たちが着ているスーツのディテール(襟の形やボタン)が、いかに軍服から発展したかを考えると、ギーブス&ホークスの凄みがより深く理解できます。

【最初のアクション】

「ギーブス&ホークス ビスポーク」で検索し、職人が一針一針縫い上げる様子を見てみてください。機械では出せない、人の手だけが宿せる「服の魂」に触れることができるでしょう。