2. 全体像の理解:トリッカーズを支える「3つの誇り」

繊細なドレスシューズとは対極にある、圧倒的な「安心感」の理由を探ります。

① 唯一無二の「ロイヤルワラント」

トリッカーズの靴の中敷きには、チャールズ国王(当時は皇太子)の紋章が刻印されています。これは英国王室に長年納品し、その品質を認められた証。厳しい審査をクリアし続けるそのクラフトマンシップは、まさに英国の誇りです。

② 質実剛健な「ベンチメイド」

トリッカーズの靴は、今でも一人の職人が最初から最後まで受け持つ「ベンチメイド」に近い形(または高度な分業)で作られています。特に、分厚い「ダブルソール」と大きな「メダリオン(穴飾り)」は、ぬかるんだ田舎道を歩くために生まれた、機能美の結晶です。

③ 「エイコンアンティーク」という魔法

ブランドを象徴する明るい茶色「エイコン(どんぐり)」。この色は、履き込むほどに色が濃くなり、クリームで手入れをするたびにアンティーク家具のような深みを増していきます。この「育てる楽しみ」こそ、トリッカーズが世界中で愛される理由です。

初心者がまず覚えるべき「トリッカーズ 2大傑作」

モデル名スタイルここが凄い!
バートン
(Bourton)
短靴(ウィングチップ)カントリーシューズの代名詞。ボリュームのあるシルエットでデニムとの相性最強。
ストウ
(Stow)
カントリーブーツバートンのブーツ版。足首まで守る安心感と、唯一無二の存在感。

3. 基本用語・概念のやさしい解説

● ストームウェルト

たとえ話: 「靴の上部(アッパー)と底の境目にある、山なりの盛り上がりのことです。これはデザインではなく、雨や砂が靴の中に入り込まないようにするための『堤防』の役割。カントリーの出自を物語る、トリッカーズらしいディテールです」

● ダブルソール

靴底が2枚重ねになっている仕様。通常のドレスシューズよりも厚みがあり、最初は鉄板のように硬いですが、その分クッション性と耐久性は抜群です。歩く時の「カツカツ」という高い音は、トリッカーズの醍醐味です。

● ダイナイトソール

イギリス製のラバー(ゴム)ソール。丸い突起が特徴で、雨の日でも滑りにくく、それでいて横から見るとレザーソールのように薄く見えるスマートなソールです。実用性を重視するならこのソールが選ばれます。

💡 初心者が知っておくべき「サイズの洗礼」

トリッカーズ、特に「バートン」は非常にサイズ感が大きいです。通常の英国靴よりもハーフサイズからワンサイズ下を選ぶのが定説。また、最初は「修行」と呼ばれるほど足が痛くなることもありますが、それを乗り越えた先にある「自分の足の一部になった」瞬間の快感は、他の靴では味わえません。

4. まとめ:初心者がまずやるべきこと

  • 1まずは「バートン」のエイコンアンティークを店舗で見る: その明るい色が、将来どんなに深い飴色に変わるかを想像してみてください。
  • 2「ダブルソール」の厚みを体感する: 手に持った時の重量感、地面を叩いた時の硬質な音。これが一生モノの重みです。
  • 3自分の「エイジング」のイメージを持つ: 綺麗に履き続けるか、あえて傷を恐れずガシガシ履くか。トリッカーズはそのどちらのスタイルも許容する懐の深さがあります。

【最初のアクション】

まずは「トリッカーズ エイジング」で画像検索してみてください。10年、20年と履き込まれた「バートン」の姿を見れば、なぜ多くの人がこの硬い靴に魅了され、手放せなくなるのか。その理由が、理屈ではなく心で理解できるはずです。