2. 全体像の理解:APが「破壊者」と呼ばれる3つの理由

保守的な時計界において、なぜこれほどまでに攻め続けられるのか。

① 「ロイヤル オーク」という革命

1972年、クォーツショックに揺れる中、当時あり得なかった「ステンレス製の超高級スポーツ時計」を発表。天才ジェラルド・ジェンタによる八角形のベゼルと剥き出しのネジ、そして「タペストリー」と呼ばれる極細の格子模様の文字盤。このデザインが、現代の高級時計のトレンドを創りました。

② 家族経営による「妥協なき独立精神」

多くのブランドが大資本(LVMHやリシュモンなど)に属する中、オーデマ ピゲは今もなお創業家が経営に携わっています。だからこそ、短期的な利益に捉われず、時には10年先を見据えた「型破りな挑戦」ができるのです。

③ 常識を覆す「素材と仕上げ」の融合

ステンレスを12時間以上かけて手作業で磨き込み、プラチナ以上の輝きを与える技術。あるいはセラミック、鍛造カーボンなど、ハイテク素材を伝統的な装飾技法で仕上げる。「伝統と革新」を言葉だけでなく実行しているのがAPです。

初心者がまず覚えるべき「3大コレクション」

シリーズ名カテゴリー特徴
Royal Oak
(ロイヤル オーク)
伝説のアイコン八角形ベゼル。薄型でエレガント。時計史を変えた「ラグスポ」の始祖。
Offshore
(オフショア)
タフ・ラグジュアリーロイヤル オークを巨大化・多機能化。圧倒的なボリューム感とスポーティさ。
CODE 11.59次世代の正統2019年発表。一見ラウンド型だが中層に八角形を隠した、超高度なケース設計。

3. 基本用語・概念のやさしい解説

● プチ・タペストリー / グランド・タペストリー

「文字盤に施された四角いタイルのような装飾です。100年以上前の古い旋盤を使い、数時間かけて彫り上げられます。光の角度で表情が劇的に変わる、APの美しさを支える核心です」

● 六角ネジの秘密

ロイヤル オークのベゼルにある8本のネジ。実はこれ、裏から締められており、表からは絶対に回らないよう固定されています。機能(防水)とデザイン(力強さ)を高次元で一致させた意匠です。

● ジャンボ (Jumbo)

ロイヤル オークの中でも、1972年の初代と同じ「39mm」のケースサイズを持つモデルの愛称。APファンにとって、この「39mm」という数字は特別な意味を持つ聖域です。

💡 初心者が知っておくべき「資産価値」

オーデマ ピゲの時計は、定価で購入すること自体が非常に困難です。中古市場(二次流通)では定価の数倍で取引されることも珍しくありません。しかし、APが真に評価されているのは「投資対象」だからではなく、150年続く「職人の手仕事」が細部に宿っているからです。

4. まとめ:初心者がまずやるべきこと

  • 1「ロイヤル オーク」のベゼルを横から見る: 磨き抜かれたサテン(艶消し)とポリッシュ(鏡面)のコントラストに息を呑んでください。
  • 2公式インスタグラムをチェックする: 伝統的な時計ブランドとは思えない、モダンでアートな世界観を感じてください。
  • 3ブレスレットの「しなやかさ」を知る: APのブレスレットは「世界で最も美しい」と称されます。1コマずつ異なるサイズのパーツが繋がる精密さを調べましょう。

【最初のアクション】

まずは「Audemars Piguet Savoir-Faire」の動画を検索してみてください。文字盤を彫り、ケースを磨き、複雑な機械を組み立てる職人の指先。その圧倒的な「手仕事の純度」を知れば、なぜこれほど高価で、なぜこれほどまでに愛されるのか、その理由が魂で理解できるはずです。